今回は、事業再生におけるM&Aについて、解説いたします。
日本のM&Aにおいては、身内に後継者がいない、
あるいは身内外においても取得資金の関係で後継者がいない会社オーナーが事業継承のために
M&Aを活用するケースが近年増加して、そのマーケットの成長に寄与してきました。
しかし、私たちがM&Aのアドバイザリー業務に取り組んでいますと、
実は経営に行き詰まった会社の再生案件は依然多く持ち込まれているのです。
いわゆる公的・私的な再生まではいかないまでも、経営のてこ入れが必要と思われる案件、
過剰な金融債務がのしかかり買収価格がつかない案件など、
現実には、事業継承に伴うM&A案件よりも多いといっても過言ではないかもしれません。
ただ、再生案件と言っても、ことの深刻度の度合いには幅があることも事実です。
例えば、法的整理手続きに基づいて破産や整理をせざるを得ないケースの場合、
事業・会社としての価値が劣化していますのでM&Aの案件としては成り立ちません。
一方で会社更生や民事再生などの公的整理、また個別の債権者と相対で交渉する私的整理の場合、
事業そのものを存続させることを前提とし、かつ外部スポンサーの支援を受けて事業再生するケースが
ほとんどとなりますので、M&Aの案件となる訳です。
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