士業の役割
概要
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今回は、事業再生におけるM&Aについて、解説いたします。

日本のM&Aにおいては、身内に後継者がいない、
あるいは身内外においても取得資金の関係で後継者がいない会社オーナーが事業継承のために
M&Aを活用するケースが近年増加して、そのマーケットの成長に寄与してきました。

しかし、私たちがM&Aのアドバイザリー業務に取り組んでいますと、
実は経営に行き詰まった会社の再生案件は依然多く持ち込まれているのです。

いわゆる公的・私的な再生まではいかないまでも、経営のてこ入れが必要と思われる案件、
過剰な金融債務がのしかかり買収価格がつかない案件など、
現実には、事業継承に伴うM&A案件よりも多いといっても過言ではないかもしれません。

ただ、再生案件と言っても、ことの深刻度の度合いには幅があることも事実です。

例えば、法的整理手続きに基づいて破産や整理をせざるを得ないケースの場合、
事業・会社としての価値が劣化していますのでM&Aの案件としては成り立ちません。

一方で会社更生や民事再生などの公的整理、また個別の債権者と相対で交渉する私的整理の場合、
事業そのものを存続させることを前提とし、かつ外部スポンサーの支援を受けて事業再生するケースが
ほとんどとなりますので、M&Aの案件となる訳です。




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ここで言う私的整理とは、中小企業再生支援協議会、事業再生ADR、
株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)のような公的で中立的な立場にある第三者が介入して
再生計画を作成し、金融機関と会社との債務の調整手続きを行う再生手続きを言います。

この私的整理手続きと公的整理の大きな違いは、
後者が裁判所への申し立てを行ってその管理のもとで行われるものですが、
私的再生の場合は、裁判所外でおこなう調整手続きであるところにあります。

また、私的再生の場合は、多くの場合金融機関とだけその債務の調整を行われ、
買い買掛金など他の一般債権者の調整は原則行われません。

また、私的整理では対象債権者と個別に同意を取り付けることになりますが、
法的整理では、仕入先等の取引先を含む全債権者が対象になります。

逆に言えば、私的整理で会社と債権者の間で合意される調整(債務免除)は、
個別の債権者にしか効力が及びませんが、公的整理においては、その手続きで決定した債権放棄割合などが全債権者に及ぶことになるのです。

また、私的整理では、情報を公開せず水面下で行われますが、法的整理では裁判者へ申し出を含めその事実が公表されるため、風評被害は、取引の打ち切り、仕入先の連鎖倒産等、事業への悪影響が懸念され、経営者としてはまずは私的整理で何とか乗り切りたいというのが本音となります。





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「のれん」の実態はなにか

 

さて、この事業再生ですが、再生の道筋として外部スポンサーの支援を受けて
事業再生するケースがほとんどとなると述べました。
ただ、選択肢としては自力で再生する方法も理論的には残されていることも事実です。

例えば、設備投資や新規事業投資の失敗で、
運転資金が行き詰まり過大化してしまった金融債務の返済が滞ってしまった場合、
不採算事業からの撤退や、可能な限りの資産売却を行い、何とか自力での存続を前提とした再生計画を作成して
生き残りを図ろうとするでしょう。

しかし、不採算事業からの撤退などで一時的に資金収支が改善されたとしても、
改善度合いが想定通りに進まない、あるいは従前の経営者による経営改善が根本的に進まないため
結果的に自体を悪化させてしまうケースが多く、また金融機関としても、一定の債務の圧縮に応じるとしても、
少しでも第三者のスポンサーから事業継承の対価を得て撤収したいと考えるのが自然であり、
結局は自力再生のスキームは現実的ではないとことになる訳です。





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事業計画が運命を分ける

 

このように、私たちは、再生案件に関するプロジェクトにおいて、
第三者スポンサーの候補者選びを依頼され、M&Aプロジェクトとしてこれに関わってきました。
では、このようなM&A案件の場合、どのような買手候補がスポンサーとして望ましいのでしょうか。

買手候補として大きく分けるとすると、同業である競合他社、同業ではないが
対象会社の事業分野に新規参入しようとする他の事業会社、
そしてバイアウト型のプライベートエクイティーファンド会社(PEファンド)などが想定され、
案件個別にいずれのタイプの買手候補が良いのか、あるいはターゲットとして含められるのか、
まずは検討することになります。

一方、スポンサーとして共通に求められるものとして考えるとき、当然ながらまずは再生プロジェクトを支える
豊富な資金力と言えるでしょう。次に、経営難に陥っている会社を強力なリーダーシップと旺盛な創造力により、
その再生計画を、場合によってはそれ以上の成長戦略を創造し実行していく企業力のある会社であることがあげられます。そして、できれば再生企業の事業領域において相当の基盤があり、
事業の経済性、効率性においてすぐにでも具体的なシナジー効果を実現できる会社であることが望まれます。





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事業計画が運命を分ける

 

資金力と言えば、やはりあげられるのが投資ファンドです。

最近はPEファンドのレイジング(資金募集)が活発化して、各PEファンド会社がその資金の投資先の発掘を競っている状況です。PEファンドに相談する場合、私達はまずそのファンド会社が、過去に再生案件会社と同業の会社に投資をした経験があるか否かを確認します。というのは、ファンド会社には既存事業が存在しないため、投資が成功するか否かはその事業領域に精通したあるいは知見のある人材がいるか否かがキーになるからです。

また、PEファンドが現在投資している会社の事業領域が再生案件会社の事業領域と一致する場合、
この会社を軸にロールアップし規模及び価値の拡大を図る場合は再生案件のスポンサーとして機能する可能性が考えられます。ただ、エクイティーファンドの場合、レイジング先との関係で、一定レベルのかつ安定的なキャッシュフローを生む事業への投資を優先させる傾向を強めており、再生案件への投資を回避するケースがみられることも事実です。

この点、サイズの違いがあるものの、90年代に多くの企業が投資を躊躇するほど経営破綻状態におちいった企業を廉価で買い取り、強引な再建計画に基づいた自らのリスクで企業再生をおこなうことで企業価値を復活増大させ大きな利益を取得した外資系投資ファンドが世間の注目を集め、一部のファンドはハゲタカファンドと揶揄されたた事例もありました。

最近、このような大胆なリスクを負うファンドが少なくなったとも思われますが、それではPEファンドが金融機関と同じ役割を担うことになってしまう訳で、事業再生に積極的にかつ大胆に関与するPEファンドが今後増え、独自の役割を発揮してくれることを期待したいと考えます。

 





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事業計画が運命を分ける

 

一方で、強力なリーダーシップのもと企業の再生を短期間に実現するケースは、カリスマ性の強いオーナー企業による事業継承においてしばしばみられます。

再生案件の場合、現経営者の資質に起因して、人的組織とコミュニケーション、コーポレートガバナンス(企業統治)、企業風土などが脆弱で、会社として固有の有形無形資産を持ちながら競合他社に負けているケースが多く、これを強いリーダーシップと過去にとらわれない発想力で集中的にかつ大胆に改革を行うことで、会社を短期間で再生に導くことができるのです。

この場合、むしろ同業他社の場合は、対象会社に対するそれまでのイメージや既定の固定概念が、再生の可能を邪魔してしまう可能性があるかもしれません。

また、シナジー効果の実現としては、競合他社あるいは同業界の他社が候補会社として優先されるでしょう。

業界で既に一定のシェアを有する競合他社による水平統合が、大きな規模の経済性を生み出すポテンシャルが推定できます。また、同業界の他社による川上から川下までを一気通貫させる垂直統合も、事業の効率性を生み出すポテンシャルが推定できます。ただこの場合、同業他社が対象会社の営業権の評価を大きく見積もることは考えにくく、特に事業継承会社をオークション方式により決定する場合は、有利な条件が出てくる可能性が低くなり、条件だけをとってみたら劣後する可能性も否定できないと思われます。

以上、企業の再生案件と継承企業について考えてきました。

次の機会においては、当社がかかわってきた具体的な再生案件なども開示して、当社の知見を紹介させていただきます。

 

 











  一部のM&Aコンサル会社では、紹介者などを通した情報収集提供活動、同時・広範囲な営業活動など、機密保守意識の低い行動をとる会社があります。これら不用意な行動は、匿名といえども、推測に基づく情報漏洩や企業価値の低下の引き金になることがあります。一例を挙げればWEB上に匿名で「売り案件/買い案件」と一覧を出す会社は注意が必要です。私共の元にはセカンドオピニオンとして依頼を受けるケースが非常に多くなっております。